手術にまつわるリスクについて

手術を行う場合、手術を行う前後で、手術操作以外にも医療行為が必要となってきます。今回は、手術前後の期間のことを周術期と言いますが、周術期に要する医療行為等に対するリスクについて説明していきたいと思います。

まとめ

・手術に要する医療行為や処置にもリスクがある
・手術操作以外の手術全般的なリスクがある
・合併症予防のための処置にもリスクがともなう

手術の前処置など

手術の準備のために前処置が行われる場合があります。たとえば、子宮鏡手術の前に行われる頸管拡張処置には子宮に穴をあけてしまうリスクがあります。また、腸処置のために浣腸や下剤を使用した場合、腸の蠕動痛・迷走神経反射・腸穿孔のリスクなどあります。

また、手術前後には様々な薬剤を使用します。たとえば、感染予防のための抗生剤・手術の痛みコントロールのための痛み止め・絶食中の点滴薬・手術中の麻酔薬など様々使用します。これら薬剤使用に伴うアレルギー反応を引き起こすリスクなどあります。
また、その投与のため、点滴ルート確保のための静脈穿刺操作による神経障害・血腫形成・感染などのリスクも考えられます。

手術体位に伴うリスク

また、長時間の手術の場合、皮膚障害(床ずれ)が起こってしまったり、手術体勢によって神経が圧迫されてしまい神経障害が起こってしまうこともあります。とくに栄養状態が割る人や糖尿病などの併存症がある人は、皮膚障害が起こりやすいとされています。
また、術中の体勢で、神経が圧迫されたり、過度に伸ばされるような場合に神経障害を引き起こす場合があります。ウレタンマットなどで除圧したり、体勢が安全なものか、ベッドの傾きを変える場合に大丈夫な姿勢なのか、圧迫されていないか適宜確認することが重要です。

血栓塞栓症のリスク

術後とくに痛みが強かったり、麻酔で眠かったり、手術による体への負担などから、術後になかなか体を動かすことが難しい場合があります。その場合、体を動かすのが少なくなってしまい、血流がうっ滞してしまい血栓という血の塊が出来てしまうことがあります。それが、肺や重要な臓器の血管に詰まってしまった場合は血栓塞栓症といって、命を落としてしまうこともあります。
血栓を予防のために、術後早めに動いてもらう早期離床・ベッド上での簡単な運動を指導したりします。また、きつめの弾性ストッキングというものを装着したり、ふくらはぎに装着してマッサージするフットポンプを装着したり、場合によっては血液をサラサラにする薬を使用したりして、血栓予防をしていきます。
これらは、手術時間、手術体位、その人の併存症、身長・体重などを評価して血栓リスクの高さによって使い分けします。
ただし、厄介なことに、これら血栓の予防策にもリスクが付いてきます。弾性ストッキングやフットポンプでは、圧迫に伴う皮膚障害・神経障害のリスクがあります。血液をサラサラにする薬は、出血を助長してしまう可能性があります。

輸血に伴うリスク

出血が多量の場合、輸血を行うことがあります。この輸血にもリスクがあります。輸血製剤が入った時にアレルギー反応(発熱、発疹、かゆみなど)を起こす可能性、重症化するとアナフィラキシーショックを起こし死に至ることもあります。
また、B型肝炎・C型肝炎・HIVなどウイルスが血液製剤に含まれていた場合、輸血を通じて感染することがあります。輸血する前に感染症の検査をするとともに、輸血して2-3ヶ月後に感染してないか検査を行います。また他にも輸血関連の合併症は、急性肺障害・溶血性反応・低体温・電解質異常など様々あります。

まとめ

手術にまつわるリスクを挙げるとキリがないです。リスク予防するために行われる行為にもリスクがあると考えると際限ないです。
現実的には、ある一定確率でこれら良くないことが起こってしまいますが、これら様々なリスクをうまくマネジメントして、合併症0となるような手術を目指していきたいです。

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投稿者: babatti3

 はじめまして。私は産婦人科医として総合病院で働いております。  女性の健康上の問題があったとき、なかなか人に相談できないこともあるかと思います。たとえば、「妊活したいが何をすればいいの?」、「妊娠したかもしれないがどうすればいいの?」、「妊娠中にやってはいけないことは?」「月経の量が多いですが大丈夫ですか?」「更年期症状が気になります」など様々な悩みがあります。  日々の診療で培われた知識・経験などを活かして、すべての女性の健康上の悩みに対して手助けとなるような情報を発信していきたいと思っております。  また2児のパパでもあり子育て世代にとって有益な情報や、趣味のジョギングに関する情報なども発信していきたいです。よろしくお願いします。

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