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 このサイトによって、すべての世代の女性健康に関する悩みの手助けになるよう全力を尽くします。  

—Baba Atsushi.

 女性の健康上の問題があったとき、なかなか人に相談できないこともあるかと思います。妊娠出産にまつわる事、更年期における体調不良、デリケートゾーンの症状など。
 女性の健康上の悩みに対して手助けとなるような情報を発信していきたいと思っております。

妊娠中の症状…つわりについて

昔から妊娠すると味覚が変化したり、すっぱいものが欲しくなる等言われていますが、実際に起こってきます。その症状は個人差が様々あり、つわりで全く食べられなく人もいれば、食べないと具合悪くなる食べづわりの人もいます。また、においに敏感になったり、口腔内に不快感を伴う場合もあります。今回、とくに妊娠初期に出現する、つわりについて説明していきたいと思います。

まとめ

・つわりが重症化すると、悪阻と言われ治療を要する。
・食事や水分摂取量、体重変化、尿検査などで重症度を判定する。
・治療は、食事・水分摂取、吐き気止め、ビタミン剤、点滴などがある。

つわりとは

妊娠すると、つわりと呼ばれる吐き気などの症状が出現します。症状の程度はありますが、多くの妊婦が経験します。妊娠に伴うホルモンの変化が主な原因と言われています。
症状は、悪心・嘔吐・食欲不振など消化器症状や、人によって食べないと具合悪くなる「食べづわり」、においに敏感になったり、味覚が変化したり、食べ物の趣向が変わる人もいます。

つわりと悪阻

簡単にいうと、つわりの症状が重症化して、全身状態が悪くなった状態を、悪阻と言います。妊娠12-16週程度には、自然に改善することが多いです。
妊娠16週以降に発症した場合や、妊娠後半まで症状が持続する場合は、他の病気が隠されている可能性があり、注意が必要です。

重症度の評価

重症度判断のために体重測定します。5%以上の体重減少がある場合は注意が必要です。 尿検査でケトン体の有無を検査します。これは、体に十分なエネルギーが足りない飢餓状態になると出現してくる物質で、それを検査します。

治療

治療は、心身の安静と休養を心がけ、少量頻回の食事摂取・水分摂取を励行します。食べられるもの食べやすいものを選んで、少しでも口にすることが大切です。
また、吐き気止めを使用して症状を和らげます。脱水所見を認める場合は点滴で水分・電解質を補います。とくにビタミンB1が不足するとウェルニッケ脳症が引き起こされます。眼球運動障害・失調性歩行・意識障害などの症状を呈します。

つわりとビタミン

ウェルニッケ脳症を予防するため、ビタミンB1入りの点滴を使用することが多いです。
ビタミンB6を投与することで、つわり症状が緩和する効果もあります。
マルチビタミン(ビタミンA1・B1・B2・B6・B12・C・D・E・葉酸ミネラル等含有)の投与で、つわり予防効果があるとの報告もあります。ただし、ビタミンAは過剰摂取により胎児形態異常率が上昇するとの報告があり、摂取量を守ることが重要です。

血栓症の予防

重度の場合は脱水から血液がドロドロとなってしまい血栓形成する可能性あります。とくに妊娠中というだけで、血栓リスクは上がるので重度の悪阻の場合は血栓予防が重要になってきます。
血栓予防のために、弾性ストッキングの着用・簡単な運動・フットポンプ・抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)などを用いることがあります。

まとめ

つわりは悪心・嘔吐・食欲不振など様々な症状を呈します。つわりが重症化すると、悪阻と言われ治療を要します。食事・水分の摂取量、体重変化、尿検査などで重症度を判定します。
治療は、食事・水分摂取、吐き気止め、ビタミン剤、点滴などがあります。重症の場合、血栓症に注意が必要です。

はじめて産婦人科を受診します…受診の流れについて

医療機関に受診したい場合、初めての受診の場合、どうすればいいかわからないことがあると思います。今回は医療機関を受診することになった場合におえておきたい注意点、受診するまでの流れを中心に説明していきたいと思います。

まとめ

・医療機関によって受付方法は様々あります。そして、病院の種類によっては紹介状ないと受診出来ない可能性があり、事前の確認が必要です。
・産婦人科での基本的な診察は、内診・エコー検査・腟鏡診です。
・診察、検査が終わったら、さらなる検査が必要なのか、治療方針など説明します。

予約・受付

まずは予約・受付をします。医療機関によっては、完全予約制のところがあり、当日病院に行っても受診出来ない場合があり確認が必要です。ちなみに大学病院や中核となる総合病院では、基本的に紹介状がないと受診が出来ないので、それも確認が必要です。紹介状がないと、受診出来たとしても高い初診料が取られます。
完全予約制ではない場合、当日受診することは可能な場合が多いですが、初診の場合で事前予約なしの場合は待ち時間が長くなることが多いので注意が必要です。
事前予約の方法は、電話・インターネットが主流です。最近ではアプリや専用のサイトから予約を行うことが出来る医療機関もあります。

どんなことを聞かれるの

初診の人は、診察券を作成するために基本情報を書いてもらいます。名前・生年月日・住所・電話番号などを書きます。また、保険証の情報も確認します。身分を確認するために身分証明書が必要な場合もあります。 そして、予診表に今回受診した理由、症状、今通院中の病気、定期処方薬、今までに罹ったことのある病気、アレルギーの有無などの医療情報を書いていきます。 そして、医師との面談では、最初に症状など重要な情報は再度確認して、詳しい経過を聞かれる流れになります。

診察の流れは

問診が終わったら、必要な検査を行っていきます。産婦人科での診察は主に、内診台に座ってもらい診察することがメインになってきます。 最初に診察の準備のために着替えてもらいます。下着まで脱いでもらい、タオルで巻いて診察台に座ってもらいます。この時、靴下まで脱ぐ必要はありません。ただし、妊娠中で浮腫をみるために靴下を下げてみることはあります。そして、上着は脱ぐ必要はありません。
産婦人科の診察の基本的なものは、内診・エコー検査・腟鏡診(クスコを用いてで子宮入り口付近を観察する)の流れになります。内診では、腟口から指を入れて、腹部から子宮を圧迫して、子宮・卵巣の状態を確認します。エコーでは、腟口からエコーを挿入します。子宮・卵巣卵管などの腫大、腹水の有無などを確認します。
性交渉がない人や腟口が狭い人には、肛門からエコーを入れることがあります。お腹の上からエコーを当てることもありますが、子宮卵巣の観察はしにくいです。

ke結果説明と今後の方針

診察をして結果を説明します。問題ないのであれば経過観察の指示をします。病状によっては、定期的なフォローアップを指示します。
治療に関していうと、薬による対症療法で良いものなのか、手術などの根本治療が必要ものなのか判断して指示します。また、生活上注意が必要な点などあればそれを説明します。
また、追加の精密検査が必要か。必要であれば、その検査計画を立てていきます。とくにCT・MRI検査などは検査に時間がかかるため、緊急性がなければ後日空いている日に予約をとることが多いです。

まとめmr

医療機関によって受付方法は様々あります。そして、病院の種類によっては紹介状ないと受診出来ない可能性があり、事前の確認が必要です。
予診、問診では、名前・生年月日・住所・電話番号など基本情報の確認、医療情報、今回受診した理由などを確認します。 産婦人科での基本的な診察は、内診・エコー検査・腟鏡診(クスコ診)です。
診察・、検査が終わったら、さらなる検査が必要なのか、治療方針など説明します。

会陰切開について

妊娠中の多くの人が不安を抱えているでしょう。とくに初めてのお産の場合、わからないことがありすぎて大変だと思います。会陰を切るなんて…想像するだけで恐ろしいと思います。とくに初めてのお産の場合、会陰裂傷もしくは会陰切開が行われるのは約70-80%程度と言われています。なぜ会陰切開が必要なのか、理解することで不安が和らぐかと思います。 今回、会陰切開について説明します。

まとめ

・会陰切開を入れることでキズの方が縫合しやすくなる。
・局所麻酔の注射をしてから、いきんだときに、つっぱる部分にハサミを入れて切開する。
・会陰切開に対しての方針は医療機関によって様々です。

産道の裂傷

会陰切開は、お産の時に赤ちゃんが出てきやすくするために、会陰部分の一部を切ることを言います。赤ちゃんの通り道を産道といいます。ちなみに骨産道と軟産道というものがあります。 赤ちゃんが最後の軟産道の通り道を通る際に、会陰や腟壁が伸ばされてつっぱります。そのときに裂けてしまう場合があります。ときには肛門や直腸まで裂けてしまうことがあります。

なぜ切るのか?

赤ちゃんが通過する軟産道とくに会陰・腟壁が多いですが、それらが裂けてしまった場合、創部が挫滅している場合や複雑な場合が多く、縫合が難しくなる場合があります。それを予防する意味で会陰切開を行います。つまり、会陰切開を入れることで自然に裂けて出来たキズより、切開を入れたキズの方が縫合しやすいという利点があります。 会陰や腟壁の伸びがいまいちで、そのままだと裂けてしまいそうな場合に切開を入れます。とくに初めてのお産の方は、会陰の伸びがいまいちの場合が多く、会陰切開を入れることが多いです。

どうやって切るのか

会陰の切開方法は、まず局所麻酔の注射をします。その後、いきんでもらって、つっぱっている会陰腟壁部分にハサミを入れて切開します。切開の部位によって、正中切開・正中側切開・側切開など様々あります。

医療機関によって方針は様々

施設によっては、初産の方は裂傷となる可能性が高いので全例会陰切開を入れる場所や、助産師さんがうまく誘導し徐々に会陰部を伸ばしながら会陰切開なしでお産をする所などあります。基本的には、必要があれば切開を入れる方針の所が多いですが、会陰切開に対しての方針は医療機関によって様々です。

まとめ

赤ちゃんの通り道、とくに最後の軟産道である会陰や腟壁が裂けてしまうことが多いです。会陰切開を入れることで自然に裂けて出来たキズより、切開を入れたキズの方が縫合しやすいので、必要であれば会陰切開を入れることが多いです。 会陰の切開方法は、まず局所麻酔の注射をして、いきんでもらって、つっぱっている会陰腟壁部分にハサミを入れて切開します。会陰切開に対しての方針は医療機関によって様々です。

安全な手術のために…手術の予定組み

手術が必要となった場合、手術をより安全に行うために準備が必要です。緊急性がなければ、基本的に手術を行うまでに準備をするために日程が組まれていきます。
とくに大きな手術の場合は入念な準備が必要です。今回、手術が決まった場合、手術に至るまでの流れについて説明していきます。

まとめ

・医療情報(既往歴・併存症・内服薬・アレルギー歴など)の確認をします。
・安全に手術できる状態か術前検査を行います。
・術前説明と、最終的に手術を行うかどうか意思確認をします。

医療情報の確認

手術が安全に行える状態なのか、その人の医療情報を事前に確認します。まず、定期的に通院している病気(併存症)がないか確認します。併存症と言います。併存症のコントロール状況を確認します。
過去に手術や大きな病気で治療したことがあるか確認します。既往歴と言います。とくに腹部手術が過去に行われている場合、お腹の中の癒着が想定されます。腹部のキズが利用できるか等を考えます。
内服薬の確認も重要です。とくに、血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合、手術中の出血を助長してしまう場合があるので、原則手術前から休薬してもらいます。
アレルギー情報の確認をします。過去に使用した薬剤でアレルギーがないか確認し、アレルギーのある薬剤は使用しないようにします。 また、食べ物でアレルギーがないか確認します。例えば、フルーツアレルギーの患者で種類によってはラテックスアレルギーを起こす場合があります。その場合は、医療者はラテックスが使用されていないラテックスフリーの手袋を用いて手術を行います。

術前検査

手術を安全に行える状態か確認するため術前検査を行います。術前検査では、主に血液検査・尿検査・心電図・胸腹部レントゲン・肺活量などの検査が行われます。
万が一、手術前後で合併症など起こった場合に、手術前の検査結果があるため、その前後で検査結果を比較することできます。

手術説明と意思確認

手術の具体的な説明をしていきます。そもそも今回の手術の必要性を確認します。また、今回の病気が手術以外の方法もあるのであれば、代わりになる治療法の説明を行います。
また、腹部手術であれば、アプローチ方法が開腹手術なのか、腹腔鏡手術なのか。キズはどのような形になるか。手術による合併症はどんなものがあるか。必要であれば手術前の前処置はどのようなものがあるか。手術後の流れはどのようになるかなど説明します。同意書を用いて説明していきます。
100%安全が保証された手術はないため、とくに手術に伴う危険性に関して十分理解して頂いた上で、納得し同意いただいてから、手術を受ける流れとなります。

まとめ

安全な手術のために準備が必要です。医療情報(既往歴・併存症・内服薬・アレルギー歴など)の確認をします。安全に手術できる状態か判断するために術前検査を行います。
手術に関しての詳細な説明と、最終的に手術を行うかどうか意思確認をします。納得し同意頂いてから、手術を行う流れになっていきます。

安全な手術のために…術前検査

手術をより安全に行うために、手術を行う前に準備など必要です。その一つとして、手術前に行う術前検査があります。
術前検査は、手術可能な状態なのか判断するとともに、手術後になにか合併症など起こった場合に比較するための基準にもなります。今回は術前検査について説明していきます。

まとめ

・手術を安全に行うために、検査によって状態を確認する。
・血液検査、尿検査、心電図、レントゲン、肺活量など検査おこなう。
・手術前後で合併症など起こった場合に、その前後で検査結果を比較することができる。

血液検査、尿検査

血球、生化学、凝固系、血糖値、感染症、血液型など測定します。
血球では、白血球、赤血球、血小板など血球成分を測定します。

尿検査は蛋白尿・尿糖の有無や尿中の白血球などを確認します。

生化学では、肝臓の機能・腎臓の機能・ミネラル分である電解質などを測定します。手術前後で薬剤使用する場合に、腎臓の機能が悪化している場合は、量の調整が必要になってくる場合があります。また、薬剤によって、肝機能障害・腎機能障害を起こす場合があるので、術前に基準を設けておく意味合いもあります。

凝固系では、血液の固まりやすさを確認します。とくに血液をサラサラにする薬を飲んでいる患者では薬の効き具合を確認することがあります。また、手術中に出血が止まりにくい状態であるか判断する意味合いをあります。

血糖値測定では、糖尿病の可能性はないか確認します。糖尿病は、とくに初期では症状がないことが多く、術前検査で偶然発見されることも多いです。

感染症検査では、B型肝炎・C型肝炎・梅毒・HIVなど検査します。これらは、血液を介して感染する恐れがあります。例えば、針刺し事故を起こしてしまった場合、B型肝炎の患者から医療従事者に感染してしまう可能性があります。なので、これら感染症の患者に対する手術や医療行為を行う場合は、感染予防対策をとくに重点的に行います。 また、手術中の出血が多量の場合、輸血を行う可能性があります。輸血を通じて、稀ではありますがB型肝炎・C型肝炎・HIVなど感染してしまう場合があります。輸血を行う前に、これら感染がないか確認する意味合いでも、術前に検査をしています。

血液型検査は、手術中の出血が多量の場合、輸血を行う可能性があります。輸血を行う場合、基本的には血液の型が合っている必要があります。そして、実際に血液製剤とその患者の血液を混ぜて、問題ないことを確認するクロスマッチ検査を行ってから輸血を行います。
型が合っていない場合、溶血反応などによって、輸血によって致死的になってしまう場合もあります。緊急時における輸血で、型の違う血液製剤を使用する場合もありますが、基本的には血液の型が合っている製剤で、クロスマッチ検査で問題ないことを確認した血液製剤を用います。

心電図、レントゲン、肺活量

心電図検査では、普段の安静時の心拍数がどのくらいか確認します。併存症で循環器疾患がある患者のコントロール状態を確認しておく意味合いもあります。稀ではありますが、何か手術中に急変を来しうるような不整脈が隠されていないか確認します。必要があれば、心エコー検査など追加の検査を行います。

レントゲン検査では、胸部と腹部を撮影します。 胸部レントゲン検査では、心肺に何か異常がないか確認します。とくに心臓が肥大していないか、肺に水が溜まっていないか等を確認します。 腹部レントゲン検査では、腸管ガスの具合や、背骨の曲がり具合、石灰化などを確認します。背骨の具合によって、背中からの麻酔を行うかどうか判断材料となります。また、腹部手術において、手術前後で画像を比較して、手術中に腹腔内にガーゼなどの遺残がないか確認します。

肺活量検査では、閉塞性障害・拘束性障害がないか確認します。全身麻酔管理する際は呼吸が止まるので、基本的に人工呼吸器管理をおこないます。人工呼吸器管理の際に換気量など基準となります。

まとめ

各種術前検査によって手術を安全に行える状態か確認します。血液検査、尿検査、心電図、レントゲン、肺活量などの検査が行われます。万が一、手術前後で合併症など起こった場合に、手術前の検査結果があるため、その前後で検査結果を比較することができます。

安全な手術のために…医療情報の確認

安全に手術を行うために、手術を行うまでに様々な準備をする必要があります。その一つとして、医療情報を確認することが重要になってきます。今通院している病気、過去に治療をした病気、定期の内服薬など医療情報が重要になってきます。
手術を予定している方は、しっかりと医療情報を伝えることが大事です。

まとめ

・安全な手術を行うために医療情報を確認することが重要
・併存症、既往歴、内服薬などを確認する。
・アレルギー歴を確認して、使用してはいけない薬剤などを確認する。

併存症、既往歴の確認

手術が安全に行える状態なのか、その人の医療情報を事前に確認します。まず、定期的に通院している病気がないか確認します。併存症とも言いますが、そのコントロールが悪いのであれば、手術に緊急性がなければ、まずはコントロールをしっかりしてもらってから、手術の予定を組むことになります。
例えば、糖尿病がコントロール不良の場合、感染しやすくなったり、キズが治りにくくなることがあります。また、手術前後の絶飲食時における血糖コントロ-ルに困難をきたす場合もあります。
喘息を持っている場合、麻酔法を喘息発作が起こりにくいものにしたり、万が一喘息発作が起こった場合にもすぐに対応できるように準備することになります。また、薬剤によっては喘息発作を誘発してしまうものがあるので、それを使用しないようにします。
過去に手術や大きな病気で治療したことがあるか確認します。既往歴と言います。お腹の手術であった場合、お腹の中の癒着がどうか、腹部のキズをどうするか、腹腔鏡であれば癒着が想定される部位を避けて腹腔内アプローチする方法をどうするか等考えます。

内服薬

内服薬の確認も重要です。とくに、血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合、手術中の出血を助長してしまう場合があるので、原則手術前から休薬してもらいます。
ただし、休薬すると血液が詰まってしまうような重度の病気であれば、休薬せずに手術する場合やヘパリンという別の血液をサラサラにする薬に置き替えたりします。
緊急の手術でない場合は、その病気をしっかりとコントロールしてから改めて手術の予定を組むこともあります。

アレルギー情報

過去に使用した薬剤でアレルギーがないか確認します。アレルギーのある薬剤は使用しないようにします。また、似た成分や種類の薬剤も必要がなければ使用しないようにします。
また、食べ物でアレルギーがないか確認します。例えば、フルーツアレルギーの患者で種類によってはラテックスアレルギーを起こす場合があります。その場合は、医療者はラテックスが使用されていないラテックスフリーの手袋を用いて手術を行います。また、入院中の食事提供する際にも注意をします。

まとめ

安全な手術を行うために医療情報を確認することが重要です。併存症、既往歴、内服薬、アレルギー歴などを確認します。
手術するにあたって問題ない状態なのか確認するとともに、安全に手術が行えるよう、使用してはいけない薬剤など情報を共有し、それを徹底することが重要です。

手術のキズをキレイに治すには

婦人科の手術は若い人が多いです。手術によって、お腹のキズが目立つ場合、水着になるのが恥ずかしかったり、温泉など行くときにタオルで隠しながら…といったことも。
最近では腹腔鏡手術・ロボット手術など普及してきており、以前と比べるとキズは小さくなってきています。今回、キズをキレイに治すということについて説明していきます。

まとめ

・キズの大きさや位置によって目立ちにくくなる。
・創部の方向、縫合法、感染予防など意識
・併存症のコントロール、禁煙、術後の創部ケアが重要

創部をデザインする

手術のキズは出来るだけ小さい方が望ましいです。ただし小さすぎると手術操作にも影響出てくるため、必要最低限という観点が重要です。
手術を計画する段階から、キズをなるべく小さくなるような腹腔鏡手術やロボット手術などの低侵襲手術を選択すること、開腹手術でも腹部ヨコ切開にしてキズを下着のラインに隠れるようにすることなど工夫が必要です。
また、手術の切開方向が、体の動く方向に対して垂直方向だとキズがよりキレイに治ります。例えば、腹部であれば腹直筋の動く方向と垂直方向、つまり腹部ヨコ切開のキズはよりキレイに治ります。
手術のキズは必要最低限にすることに加えて、そのキズをキレイに治すために出来ることを紹介していきます。

医師がすべきこと

手術のキズのことを創部といいます。創部がキレイに治すためには、適切な縫合法が重要になってきます。ポイントは、層と層があっていること、血流が保たれること、死腔をなくしキズ同士が離れないことです。
これらのポイントを意識した縫合が大事です。縫合する方法はいくつかありますが、真皮縫合がこれらポイントを達成しやすく、キズもきれいに治ります。また、連続縫合より単結節縫合の方が血流維持の面でも有利となり、キズもよりキレイに治ります。皮下組織が厚い人には皮下ドレーンを入れて、キズ同士が離れないようになり死腔対策となります。
他に創部感染予防のための適切な抗生剤使用、ケロイド予防のためにも手術前の除毛など行います。

患者が出来ること

もともと通院している病気がある場合はしっかりとコントロールすることが重要です。とくに糖尿病の場合、コントロールが不良な場合は感染しやすくなります。創部感染や創部離開するリスクが高くなるため、手術に備えてしっかりとコントロールすることが重要です。
また、肥満の場合、皮膚に溝が出来てしまったり、腹壁が皮下脂肪で厚い場合、創部感染・創部離開リスクが上がるので、出来るだけ手術前に体重コントロールすることが大切になります。また、喫煙している人は禁煙しましょう。
術後の創部をキレイに治すためのテープ・ケアテープ・シリコン素材などの創傷被覆材があります。様々な理論で言われていますが、創傷治癒のために創部を湿潤環境にすることが良いとされており、創部を被覆することが重要です。
また、紫外線・微細な粉塵などによる皮膚へのダメージにより創部が変色する原因となります。それらダメージを防ぐ意味でも、創部が治癒した後に創部被覆を継続することで、キズがキレイになります。被覆材の使用目安は術後約3ヶ月程度と言われています。

まとめ

若い女性が多い産婦人科手術ではキズが目立ちにくいことが重要になります。キズ自体をデザインすることに加えて、キズをキレイに治すために出来ることがあります。
患者自身で出来ることは、併存症のコントロール・禁煙、・術後の創部ケアなどです。 医師が出来ることは様々ありますが、キレイに治すための縫合法には修練を要します。
キズを小さく、キレイに治し、目立ちにくくすることで、手術の後にプールや温泉など億劫にならないよう最大限を尽くしたいと思います。

手術にまつわるリスクについて

手術を行う場合、手術を行う前後で、手術操作以外にも医療行為が必要となってきます。今回は、手術前後の期間のことを周術期と言いますが、周術期に要する医療行為等に対するリスクについて説明していきたいと思います。

まとめ

・手術に要する医療行為や処置にもリスクがある
・手術操作以外の手術全般的なリスクがある
・合併症予防のための処置にもリスクがともなう

手術の前処置など

手術の準備のために前処置が行われる場合があります。たとえば、子宮鏡手術の前に行われる頸管拡張処置には子宮に穴をあけてしまうリスクがあります。また、腸処置のために浣腸や下剤を使用した場合、腸の蠕動痛・迷走神経反射・腸穿孔のリスクなどあります。

また、手術前後には様々な薬剤を使用します。たとえば、感染予防のための抗生剤・手術の痛みコントロールのための痛み止め・絶食中の点滴薬・手術中の麻酔薬など様々使用します。これら薬剤使用に伴うアレルギー反応を引き起こすリスクなどあります。
また、その投与のため、点滴ルート確保のための静脈穿刺操作による神経障害・血腫形成・感染などのリスクも考えられます。

手術体位に伴うリスク

また、長時間の手術の場合、皮膚障害(床ずれ)が起こってしまったり、手術体勢によって神経が圧迫されてしまい神経障害が起こってしまうこともあります。とくに栄養状態が割る人や糖尿病などの併存症がある人は、皮膚障害が起こりやすいとされています。
また、術中の体勢で、神経が圧迫されたり、過度に伸ばされるような場合に神経障害を引き起こす場合があります。ウレタンマットなどで除圧したり、体勢が安全なものか、ベッドの傾きを変える場合に大丈夫な姿勢なのか、圧迫されていないか適宜確認することが重要です。

血栓塞栓症のリスク

術後とくに痛みが強かったり、麻酔で眠かったり、手術による体への負担などから、術後になかなか体を動かすことが難しい場合があります。その場合、体を動かすのが少なくなってしまい、血流がうっ滞してしまい血栓という血の塊が出来てしまうことがあります。それが、肺や重要な臓器の血管に詰まってしまった場合は血栓塞栓症といって、命を落としてしまうこともあります。
血栓を予防のために、術後早めに動いてもらう早期離床・ベッド上での簡単な運動を指導したりします。また、きつめの弾性ストッキングというものを装着したり、ふくらはぎに装着してマッサージするフットポンプを装着したり、場合によっては血液をサラサラにする薬を使用したりして、血栓予防をしていきます。
これらは、手術時間、手術体位、その人の併存症、身長・体重などを評価して血栓リスクの高さによって使い分けします。
ただし、厄介なことに、これら血栓の予防策にもリスクが付いてきます。弾性ストッキングやフットポンプでは、圧迫に伴う皮膚障害・神経障害のリスクがあります。血液をサラサラにする薬は、出血を助長してしまう可能性があります。

輸血に伴うリスク

出血が多量の場合、輸血を行うことがあります。この輸血にもリスクがあります。輸血製剤が入った時にアレルギー反応(発熱、発疹、かゆみなど)を起こす可能性、重症化するとアナフィラキシーショックを起こし死に至ることもあります。
また、B型肝炎・C型肝炎・HIVなどウイルスが血液製剤に含まれていた場合、輸血を通じて感染することがあります。輸血する前に感染症の検査をするとともに、輸血して2-3ヶ月後に感染してないか検査を行います。また他にも輸血関連の合併症は、急性肺障害・溶血性反応・低体温・電解質異常など様々あります。

まとめ

手術にまつわるリスクを挙げるとキリがないです。リスク予防するために行われる行為にもリスクがあると考えると際限ないです。
現実的には、ある一定確率でこれら良くないことが起こってしまいますが、これら様々なリスクをうまくマネジメントして、合併症0となるような手術を目指していきたいです。

手術をすることになりました。色々と心配です…手術リスクについて

はじめての手術の場合、自分の体にメスが入って…と想像するだけで怖いと思う人は多いです。過去と比較すると医療水準が高くなってきており安全に手術が行われるようになってきています。しかし、100%の安全が保証された手術は残念ながらありません。 ある一定確率で良くないことが起こる可能性があり、手術合併症・有害事象などと言われています。こわい話になってしまいますが、今回は手術にともなう危険性リスクについて説明していきます。

まとめ

・100%安全な手術は残念ながらない。
・手術に限らず医療行為には様々なリスクがある
・手術前後・手術操作など様々なリスクがある

医療行為にはリスクが付きもの

基本的には医療行為というものには、手術以外にも様々なリスクがついて回ってきます。例えば、造影剤を使用した検査(造影CT検査など)の場合、造影剤の使用によるアレルギー反応など引き起こす可能性があります。また、手術で出血多量になった場合に行う輸血という行為にもリスクがあります。頻繁におこなわれますが、採血のための末梢静脈穿刺にも、神経損傷・出血・血腫などのリスクが伴います。
とくに何もないことが多く問題になることは少ないですが、人に何かしらの介入する医療行為にはリスクが付きものです。いくら注意して行っても、ある一定確率で何かしらの良くないことが起こってしまいます。

手術までの流れ

手術までの流れとしては、点滴のための静脈路確保のための静脈穿刺、術中の尿路確保尿量確認のために尿カテーテル留置、心電図・血圧計・深部体温計など装着してバイタル測定、手術体制に姿勢を整えたりして、手術向けて準備が行われます。そして、麻酔がかかって手術という流れになります。
その各種準備のための医療行為も、それぞれリスクがあります。 また、手術室に入る前にも絶食・絶飲食になったり、必要があれば前処置として、浣腸や下剤を使用した腸処置、剃毛、経腟操作の手術の場合は子宮頸管拡張処置など行う場合があります。

手術操作に伴う合併症

手術といっても種類が沢山あります。ここでは主に婦人科で行われる子宮・卵巣に対する腹部手術に関してのリスクについて説明していきます。
婦人科であれば、子宮周囲の臓器である膀胱・尿管・腸などの周囲臓器損傷の可能性があります。腸をもし損傷した場合は、外科の先生に修復を依頼します。腸の損傷部位によっては、人工肛門が必要となる場合があります。また、膀胱・尿管という、おしっこの通り道を損傷した場合は、泌尿器の先生に修復を依頼します。場合によっては、腎瘻・人工膀胱・尿管ステント留置など要する場合があります。
また、子宮は血流豊富な臓器であり、とくに妊娠中の手術となる帝王切開では、出血量が多くなる場合があります。また、血管損傷などによっても出血が多くなる場合があり、血圧など血行動態が不安定となる場合は輸血を行う場合があります。 

キズの部分に感染を起こすと創部感染、腹部術後の腹腔内感染、尿カテ留置などに伴う尿路感染・人工呼吸器管理や喀痰に伴う肺炎気管支炎など各種感染症を引き起こす場合があります。とくに術後膿瘍形成した場合は再手術を要することがあります。
お腹の中が大丈夫なことを確認してから、閉腹して閉創しますが、後から腹腔内出血が起こること等あります。出血量が多い場合は、止血のために再手術となることがあります。
また、術後の痛みは大なり小なりほぼ必発です。快適に術後も過ごすために、疼痛コントロールが重要になってきます。
また手術前後で起こりうる合併症もあり、今後紹介していきたいと思います。

まとめ

残念ながら100%安全な手術はありません。手術に限らず医療行為には様々なリスクがあります。手術操作以外にも手術前後には様々な医療行為が必要であり、それらにリスクが付いて回ります。こわい話もありますが、とくに問題なく手術が終わる事の方が多いです。
しかし、ある一定確率で起こりうるものです。リスクをしっかりと認識し、少しでも合併症が減るよう努め、安全な手術を提供していきたいと思います。

長生き=幸せとなるように…健康寿命について

昔、長生きは幸せなこととされていました。長寿はめでたく、年齢ごとに祝いの儀式が行われている家庭や地域もあるかと思います。
今は長生きに伴う経済的損失、介護・医療問題など、負の側面が取り上げられてきています。万が一病気になって周囲に迷惑かけてしまうことを考えたり、認知機能障害になって自分で判断が困難となってしまったり。正常に思考できなくなったら生きている意味はあるのだろうか? 自分らしい生活が送れないのであれば、いっそ死んだ方が良いと考える人などもいます。安楽死を掲げて、選挙に出てくることも目にするようになっています。
長寿が幸せという価値観は揺らいできています。

日本は世界屈指の高齢化の国です。ありえない速さで高齢化が進んでおり、ここ数年で平均寿命がとても長くなっています。
人生100年時代と言われていますが、長い人生をよりよく生きるために、健康寿命がキーワードとなってきます。

まとめ

・加齢とともに、病気になりやすくなる
・身体機能も低下し、日常生活が困難となっていく
・よりよく生きるために健康寿命を延ばすことが重要。

加齢とともに病気になりやすくなる

御存じのことだとは思いますが、年齢が高くになるにつれて、病気になりやすくなります。年齢が重なるごとに疾患罹患率は蓄積されることになり、病気を持つ確率は上がってきます。とくに悪性腫瘍(いわゆるガン)の罹患率は年齢とともに増加していきます。
年齢を重ねるとともに、こういった病気とうまく付き合っていくことがとても重要になってきます。それとともに、若いうちから、病気になりにくくするように、予防医学に関する知識や行動が重要になってきます。

身体機能も低下してくる

加齢に伴い運動機能・認知機能などの身体機能が低下してきます。身体機能の低下により、重いものが持てなくなり十分な量の買い物が出来なかったり、長時間歩いて移動することが困難になってきます。また、自動車を運転して外出することも困難となってきます。とくに最近では高齢者の運転による事故問題がピックアップされている通りです。都市部では交通機関が発達しているからまだしも、地方では自動車が唯一の移動手段の場所もあり、自動車運転が出来なくなってしまったら、死活問題となってきます。 このように加齢に伴う身体機能の低下によって、日常生活を送ることが困難となってくることもあります。
また、病気によっては身体機能を急に低下させてしまうものもあります。とくにロコモティブシンドローム・メタボリックシンドローム・認知機能障害が3大因子であるとされています。

健康寿命とは

加齢にともなって、病気になって医療的介入が必要であったり、身体機能の低下から介護が必要になってきます。そうした、医療的介入や介護を要する状態ではない期間を健康寿命と呼びます。また、平均寿命と健康寿命の差の部分は、介護や医療的な介入を要する状態となります。
ちなみに2016年調査では日本の平均寿命は、女性87.1歳、男性80.9歳です。また、健康寿命は女性74.8歳、男性72.1歳です。平均寿命と健康寿命の差は、女性12.3年、男性8.8年となります。

今後も、健康で過ごせるヒントになるような記事を書いていこうと思います。